ストレスの原因と種類
ストレスは脅威に対する生物学的反応です。それは化学物質とホルモンの急増によって引き起こされます。ストレスは問題に対処するのに役立ちますが、多すぎると健康を害します。
ストレスは、その原因と戦う・または原因から逃げるために、闘争・逃走反応を引き起こします。 この反応が起きた後は体がリラックスします。
ストレスは悪いものなの？
ストレスは必ずしも悪いものではありません。私たちの祖先である狩猟採集民はストレス反応によって原始時代を生き延びてきました。（ストレス反応が低い個体は原始時代の環境を生き延びることができなかった。）
そして、現代世界でもストレスは重要です。事故を回避したり、物事を厳しい期限に間に合わせたり、混乱の中で自分の性質を維持したりするのに役立ちます。
たとえば、職場での大規模なプレゼン時の緊張は良い形のストレスでしょう。
しかし、ストレスは一時的なものであるべきです。 闘争・逃走反応の瞬間を過ぎると心拍数と呼吸はゆっくりとなり、筋肉がリラックスし、体は短時間で自然な状態に戻ります。
一方、重度のストレス、長期のストレスは精神的・身体的な害を及ぼします。
ストレスが全くない生活というのはあり得ません。しかしストレスを回避し、または管理することを学ぶことはできます。
ストレスの定義
ストレスは危機に対する正常な生物学的反応です。突然のストレスに遭遇すると、アドレナリンやコルチゾールなどの化学物質やホルモンが放出されます。
これにより鼓動が速くなり、血圧が上昇し、血液が筋肉や重要な臓器に送られます。エネルギーが体全体に行き渡り、人は活力を感じ、意識が高まり、差し迫った危機に集中できるようになります。
ストレスホルモン
危険を感じると脳の一番奥、下垂体の真上にある視床下部が反応します。ここは神経とホルモンの信号を副腎に送り、大量のホルモンを放出します。
これらのホルモンは危難の際の生存の可能性を高めます。ホルモンにはアドレナリンやエピネフリンなどがあります。
アドレナリン
アドレナリンは副腎髄質から放出されるホルモンです。様々な作用を発揮しますが、中心的役割はストレス反応です。
アドレナリンの働き
・心拍数を上げる
・呼吸数を増やす
・筋肉のブドウ糖の使用を促進する
・血圧を上げ、血液が筋肉に向かうようにする
・発汗を刺激する
・インスリン生成を阻害する
頻繁にアドレナリンが急増すると、以下の問題を生じる
・血管の損傷
・高血圧
・心臓発作や脳卒中のリスク
・頭痛
・不安
・不眠症
・体重増加
・攻撃的になる
コルチゾール
コルチゾールは体内のほぼすべての臓器や組織に影響を与える必須ホルモンです。それはまた、主要なストレスホルモンです。
コルチゾールのストレス状況下での働き
・血流中のブドウ糖の量を上げ、エネルギーを急速に供給させる
・脳のブドウ糖の効果的使用を助ける
・組織の修復を助ける物質へのアクセスを高める
・危難において必要ない機能の抑制
・免疫系の反応を変える
・生殖器系と成長過程を弱める
・恐怖、動機、気分を制御する脳の部分に影響を与える
これらは脅威に効果的に対処するのを助けます。これは正常なプロセスであり、生存に不可欠です。
ストレスの種類
急性ストレス
急性ストレスは、困難な状況に対する即時的な反応です。（例：交通事故をかろうじて免れたときに感じるストレス）
急性ストレスは何かを楽しんでいるときにも生じます。（例：ジェットコースター、バンジージャンプ）
急性ストレスの原因は、通常、害を及ぼしません。急性ストレスの多い状況は、将来のストレス状況への対応を開発するための体と脳の練習になります。
危険が過ぎ去ると、体のシステムは正常に戻ります。
重度の急性ストレスは話が違ってきます。生命を脅かす状況に直面したときなどの重度の急性ストレスは、心的外傷後ストレス障害（PTSD）や他のメンタルヘルスの問題につながるかもしれません。
慢性的な急性ストレス
慢性的な急性ストレスとは、急性ストレスの頻繁に発生することを指します。
重度の急性ストレスと同様に、慢性的な急性ストレスは、身体の健康と精神の健康に影響を与える可能性があります。
慢性的ストレス
高いストレスレベルが長期間続くと慢性的ストレスになります。 これは、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
・不安
・循環器疾患
・うつ
・高血圧
・免疫システムの弱体化
慢性的ストレスは頭痛、胃潰瘍、睡眠障害などの病気にもつながるかもしれません。
ストレスの原因
急性または慢性ストレスの原因には次のようなものがあります。
・自然災害、人災
・慢性疾患とともに生きる
・生命を脅かす事故や病気
・犯罪の被害者となること
・不幸な結婚
・貧困
・危険な職業に就いている
・突然の失業
・ワークライフバランスが取れていない、長時間働いている
何れの原因であっても、ストレスの管理を怠ると身体へ深刻な影響を生じます。
ストレスの症状
ストレスの症状は人により様々ですが、以下のものが多いです。
・慢性的な痛み
・睡眠障害
・自己肯定感の低下
・性欲の低下
・消化器系の問題
・過食
・集中力と決断力の低下
・倦怠感、疲れやすい
何かに圧倒されているように感じたり、いらいらしたり、何かを極度に怖がったりするかもしれません。 また飲酒や喫煙が多くなるかもしれません。
ストレス性頭痛
緊張型頭痛とも呼ばれるストレス性頭痛は、頭、顔、首の筋肉の緊張が原因です。以下の症状があります。
・軽度から中等度の鈍い頭痛
・額が締め付けられているように感じる
・めまい
また、筋肉の緊張は肩こりなどを引き起こすかもしれません。
多くのことが緊張性頭痛を引き起こします。しかし、これらの緊張した筋肉は、感情的なストレスや不安が原因である可能性もあります。
ストレス性潰瘍
胃潰瘍（消化性潰瘍の一種）は、以下によって引き起こされる胃の粘膜の痛みです
・ピロリ菌の感染
・非ステロイド性抗炎症薬（NSAID）の長期服用
・アルコール摂取
身体的ストレスが免疫系とどのように相互作用するかはまだ分かっていないことが多いです。身体的ストレスが潰瘍からの治癒に影響を与える可能性があると考えられています。
身体的ストレスの原因
・脳または中枢神経系の外傷または損傷
・長期の病気や怪我
・外科的処置
また、胸やけや胃潰瘍の痛みは感情的ストレスにつながる可能性があります。
ストレスによる過食
ストレスによって、お腹が空いていなくても食べるという行為にでる人もいます。 何も考えずに食べたり、以前よりも食べ過ぎたりする場合はストレスによる過食かもしれません。
これらは必要以上のカロリーを摂取し、また不健康な食べ物の摂取が多くなります。これは体重増加や多くの健康問題につながる可能性があります。そして、過食はストレスを解決しません。
仕事でのストレス
仕事は色々な理由で大きなストレスの原因となります。
職場でのストレスの原因
・自分には仕事で発生する様々なことに対処する力がないと感じる
・仕事が嫌で行き詰まりを感じているが、他に選択肢がない
・やるべきではないと思う仕事をさせられている
・同僚との衝突
・働き過ぎ
嫌いな仕事をしている場合、または他人の要求に何の意見もできず言いなりになる場合、ストレスは避けられません 時には仕事を辞めたり、ワークライフバランスを保つために立ち上がることが正しいかもしれません。
ストレスと不安
ストレスと不安は密接に関係していることが多いです。
ストレスは、脳と体にかかる要求から生じます。不安とは、高いレベルの心配、困難さ、恐怖を感じるときです。
不安は、一時的または慢性的なストレスから生じることが多いです。
ストレスと不安の両方を抱えていると、以下のように健康に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。
・高血圧
・心臓病
・不眠
・パニック障害
・うつ
ストレス管理
ストレス管理の目的は、ストレスを完全になくすことではありません。完全になくすことは不可能ですし、ストレスは状況によっては健康に寄与します。
ストレス管理には、まず、ストレスの原因となるものを特定すべきです。そのうち、どれを回避できるかを考えてみましょう。次に、避けられないストレス要因に対処する方法を見つけるべきです。
ストレスレベルを管理することで、疾患のリスクを下げることができます。また、毎日幸せを感じ、気分良く暮らせるようになります。
ストレス管理の基本的方法
何が効果的かは人によって異なります、無理に行うとかえってストレスが増える場合もあるので、自分に合った方法を採用しましょう。
・健康的な食事
・毎晩しっかり睡眠をとる
・定期的な運動
・カフェインとアルコールの摂取を抑える
・休息、リラクゼーション、セルフケア
・深呼吸などの瞑想